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元気に走れ


 2011年3月11日に日本を襲った巨大地震と大津波は、国内のみならず世界中に衝撃を与えた。そして福島第一原子力発電所の事故は、電力危機という新たな事故を引き起こし、社会構造を根本から揺るがした。「3・11」のショックから今年こそ立ち上がらなければならない。
 国内経済をみると、長いデフレ経済、円高、原油高、株安など重荷を抱えている。昨年11月の完全失業率は4.5%で大震災発生前の4.6%(2月)に比べるとわずかに低下している。直近の実質国内総生産(GDP)は一年前の水準に戻っていないにもかかわらず、失業率は0.1%低下している。内情をみると、失業率の数字から雇用環境を楽観視できない。これは人口そのものが減少していることと、仕事に就いておらず、求職活動もしていない個人が増えているからだ。
 職探しをあきらめている人が増えている背景には、企業の雇用需要が依然として弱いことに加え、労働市場におけるミスマッチが拡大しているためだ。これに追い打ちをかけるように、昨年12月に厚生労働省は、企業に対して65歳まで希望者全員を再雇用するよう義務付ける方針を明らかにした。希望者全員の再雇用を義務化したら、労働市場の市場原理が働かなくなり、若年層雇用への影響に出てくる。若年層の雇用が抑制されてしまう。
 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会は、毎年行っている実態調査(第42回)の結果速報を公表した。
 速報によると、平成22年度の売上は全国本社平均で11億6174万円、前回調査11億7474万円と比べマイナス0.8%(1300万円)。
 官民の契約改定率(継続物件契約額の対前年度比増収額率)は、全国平均で官公庁がマイナス2.4%(前年度マイナス2.9%)、民間がマイナス0.6%(同マイナス1.0%)とわずかではあるが、官民ともに前年度を上回った。




一方、ビルメンテナンス業界では、死活問題ともいえるパート労働者への年金適用拡大問題や環太平洋パートナーシップ(TPP)問題、入札制度問題など課題が山積している。TPPに加盟した場合、政府調達分野でどのような影響が生じるのか。政府調達とは、公共事業などの入札のことで、内国民待遇(自国民と同等に扱う)、無差別の約束。中央政府機関と地方政府機関が対象で、昭和56年に発行したWTO協定により、既に開かれているが、基準額が大幅に下がることになる。協定で定める基準額は物品サービスが5万SDR(750万円)、建設が500万SDR(7億5000万円)。物品サービスについては、10万SDR(1500円以上)を対象としているが、半分の5万SDRとなる。外国企業参入より国内企業間の激戦が予想される。今こそ業界は規制緩和より、規制強化すべきではないか。
 必要なのは、カリスマ型の強いリーダーか、それとも半歩先を歩く共感型のリーダーか。
 日本経済にとって、従来の産業構造から脱却し、内需主導型経済に即した産業構造を作らなくてはいけない。これまでの輸出志向である製造業からサービス業の比重が大きい構造に移行することだ。対人サービスで雇用を確保し経済を先導する必要がある。ビルメンテナンス業や警備業の経営者が知恵を絞って、日本経済を先導してほしい。
 今年は「辰年」、「辰巳の天井」という言葉通り、去年の卯年に跳ねる予定であったが、そう簡単にはいかなかった。十二支の中で辰は唯一、架空の動物で、そのせいで格言が見当たらない。「辰」は「しん」とも読み、振、震の意味を持つらしい。「動いて伸びる」「整う」ということで、草木が盛んに成長し形が整った様を表すそうだ。昨年、卯年に跳べなかった分、今年こそは「昇竜」、天に昇るような元気を取り戻したい。


全国ビルメンテナンス協会


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